インフルエンザの治療と予防のお話

今年も残すところわずかとなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
これまで比較的暖かかったせいか、今年は昨年ほどのインフルエンザ流行は今のところ見られていないようです。このまま大流行なくシーズンが終わってほしいものですね。
そうはいっても季節柄、このところインフルエンザの治療や予防についてのお問い合わせを受ける機会も増えてきましたので、簡単にまとめてみます。

まず今年3月から、新たな治療薬「バロキサビル」(商品名ゾフルーザ)が発売され使用できるようになりました。内服1回だけで治療が完了してしまう利点があり、全国的にこの薬で治療される医療機関が多くなっているようです。当院でも今シーズンは使用機会が増えています。また以前から使用されていたオセタミビル(商品名タミフル)には、今年後発品が発売され、お薬代の面からも選択肢が広がりました。ただどの薬剤を選択するにせよ、風邪症状+急な発熱、関節痛などの症状が出現した時は医療機関で検査すること、そしてかかってしまったときは治療と休養(解熱後少なくとも48時間の安静)が最も大切であることに変わりはありません。

つぎに、インフルエンザを発症しないための予防投薬についてのお問い合わせをいただくことも多くなっています。

インフルエンザ予防のためにはまずはワクチン接種が重要ですが、残念ながら現状ではワクチンで完全にインフルエンザ感染を防ぐことはできません。このためインフルエンザにかかってしまうと重症化しやすいと思われる人に対しては、オセタミビルほか2剤の「予防内服」が行われることがあります。

オセタミビルの添付文書から引用すると以下のような方が対象になります。
(1)家族など同居する人がインフルエンザにかかっていることに加えて、(2)かかった場合に重症になりやすい人であること、具体的には以下のいずれかの条件に当てはまること

・65歳以上の高齢者

・喘息、肺気腫など慢性の呼吸器疾患がある

・心不全など慢性の心臓病がある

・糖尿病などの代謝性疾患がある

・腎臓病がある

これらに当てはまるときは、予防内服したほうが良いのかもしれません。オセタミビルを予防に使う場合は1日1錠を7~10日間内服することになっています。

ただし、発病してからの治療ではありませんので保険適応とはならず、自己負担の自由診療となってしまいます。当院でも必要と思われる場合には自由診療で実施しますので、ご希望の方は方はご相談ください。

上記に当てはまらない方で、例えば受験とかどうしても欠席できないお仕事、行事などで予防内服ご希望の方もお見えになりますが、こうした場合は薬剤の添付文書に書かれていない「適応外使用」となり、万一つよい副作用が出た場合に「医薬品副作用被害救済制度」の対象とならず、補償が受けられない可能性もありますので、原則として積極的にはおすすめしていません。

予防内服の効果があるのは、基本的に内服している期間だけです。予防の基本はやっぱり予防接種と流行期には人込みを避けること、手洗い、うがいなどです。皆様どうかご自愛ください。

ついでながら、12月9日に行われた猪名川彫刻の道マラソンにも出場させていただきました。一緒に参加した生駒病院スタッフともども、無事完走することが出来ました。沿道で私どもにお声をかけて下さった皆様、本当にありがとうございました!