長引く咳と呼気一酸化窒素濃度測定の話

心配していたインフルエンザですが、やはり今年も年明けから流行となってしまいました。2月になって多少落ち着いてきた感はありますが、まだまだ油断できないのでどうか皆様ご自愛ください。
さて今回はちょっと聞きなれないタイトルですいません。
風邪などひいたあと、どうも咳が長引いて・・・という経験をされたことのある方はいらっしゃいませんか?当院でも、長引く咳についてのご相談をよくいただいております。
当然ながら、咳の原因で最も多いのは「かぜ」です。のどの痛み、鼻づまり、熱や体のだるさとともに咳も出てきますね。のどや鼻などの症状がよくなってからも咳が残ることも時々あります。かぜの後の咳は通常3週間以内にはおさまることが多いとされていますので、2週間以上たっても改善の兆しがない場合は医療機関受診されたほうがいいと思われます。当院では2週間以上咳が続いている場合は、必ず胸部X線写真を撮って肺炎などの疾患がないか確認するようにしています。

それでは、3週間以上続く咳はどうでしょうか。原因はさまざまですが、日本での報告の中では、その半数以上が咳喘息などのアレルギー性の咳であるとしているものが多く見られます。咳喘息の特徴は、①夜中から明け方にかけて強い咳で目がさめる②アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を併発していることが多い③これまでにも咳が長引いた経験がある④家族に喘息やアレルギー疾患の方がいる⑤喘息の治療薬を使うと、きれいに咳がおさまる などです。

ただ、咳喘息やアレルギー性の咳の場合、胸部X線写真などを撮っても明らかな形に現れる病変はないことがほとんどですので、はっきりと診断するのは意外と難しいものです。結局は喘息の薬を使ってみて、咳が良くなったかどうかで判断するほかないことも多いのが現状でした。

ところが、ここ数年、咳喘息やアレルギー性の咳の方では、呼気の中の「一酸化窒素」が増えていることが明らかになってきました。さらに、実際に呼気中の一酸化窒素を測定する医療機器が開発され、近年は保険適応にもなって普及しつつあります。

実は当院でも今月から、呼気一酸化窒素測定機器を導入して使えるようになりました。機器の中に息を吹き込むだけで検査ができるので体への負担が極めて少なく、また数分で結果が判定できるのですぐに診断治療に役立っています。

咳が長びいて気になる方は、これまでと違う方法でのアプローチも可能となりましたので、是非ご相談ください。