ワクチンあれこれ その2 肺炎球菌ワクチン
11月に入り、インフルエンザワクチンの接種機会も増えてきました。今年はこれまでのところ、川西市・猪名川町のインフルエンザ報告数はそれほど増えていないようです。昨年のような大流行とならないことを願うばかりです。
さて、インフルエンザがこじれると肺炎を起こしやすいこと、この場合の肺炎の原因となる細菌としては「肺炎球菌」が最も重要であることが以前から知られています。
以前のブログでもご紹介しましたが、肺炎球菌性肺炎の予防にも有効なワクチンがあります。現在13価ワクチン(商品名プレベナー)と23価ワクチン(商品名ニューモバックス)の2種類があり、特にご高齢の方の肺炎予防効果についてはしっかりとした科学的根拠が示されているので、充分におすすめできるワクチンといえます。
この2種類、どう違うのかについて、話が複雑になってすいませんが2点だけご紹介します。
まず肺炎球菌の中にも実はいろんな型があることが知られていて(90種類以上とも言われています)、2種類のワクチンともすべての型を防げるわけではなく、またそれぞれの守備範囲がやや違っているのです。したがって、理想を言えば2種類とも接種しておいた方が防げる守備範囲が広がるということになります。
次に、13価ワクチンの方が23価ワクチンよりも効果が長く続くことも知られています。このことから、日本感染症学会・呼吸器学会では、23価ワクチンは必要あれば5年以上間隔をあけて2回目以降の接種をすること、13価ワクチンについては基本1回だけの接種をすすめています。
(正確なスケジュールについては下記リンクの図1をご覧ください。PPSV23が23価ワクチン、PCV13が13価ワクチンを表しています)
これらのワクチンは世界中の多くの国で使用されていますが、日本では平成26年(2014年)10月から、23価ワクチンの1回目についてのみ定期接種の対象となり、その年に65才になられる方でこれまで23価ワクチン接種を受けたことがない方は公費補助付きで接種が受けられることなりました。
同時に、それ以前に65才になられていた方への経過措置として、その年に70才、75才、80才、85才、90才、95才、100才になられる方にも公費補助が行われています。実はこの経過措置が5年で一巡したということで、2018年度つまり今年度をもって終了となります。
これを読んでくださっている方の中にもすでに23価ワクチンを接種された方もいらっしゃるかもしれませんが、全国的にはまだまだ受けられていない方も多く、実際に接種された方は対象年齢の方の半数に満たないのが現状のようです。
来年3月まで経過措置で公費補助が受けられる方は下記のリンクの通りです。せっかくの公費補助が受けられる機会ですので、この年齢に該当する方はぜひご考慮ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/haienkyukin/index_1.html
来年度以降の公費補助についてはまだ未定の部分もあるようですが、13価ワクチンおよび23価ワクチンの2回目以降については、これまでどおり全額自費となるのかもしれません。
当クリニックではおひとりおひとりの健康状態やご希望に合わせて接種計画を立てております。お気軽にご相談ください。
最後になりますが、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンとも有用性の高いワクチンではありますが、すべての肺炎やかぜを防げるわけではありません。ワクチンを打ったからと言って過信することなく、かぜの流行するのシーズンには可能であれば人込みを避け、手洗いなどを励行しましょう。寒さに向かいますが皆様くれぐれもご自愛ください。